2011年8月30日火曜日

個人面談では、こんな話をしています その2

裁量問題絡みの内容は根強い人気があるようです。
この記事は2011年度入試を元に書かれています。
現在は出題傾向が変わり、得点分布などの考え方も違ってきていますので、その点ご注意を。

やはり気になる裁量問題

中3生の面談でよく話題にするのが"裁量問題"のことです。
かつて、北海道の入試問題は、他県より簡単すぎるために成績上位者の多くが満点近い点数を出していました。
合否判定の際に1問のミスの影響力が大きすぎることから、「もう少し難易度を上げた問題を入れて、上位層の点数差を作ろう」という意図で数年前から国・数・英の3教科に対して導入されたのが"裁量問題"の選択です。

各高校ごとに「裁量問題を使うかどうか」を選択し、使う場合には国・数・英の各教科で15~20点分程度の問題が標準問題から差し替えられるわけですが、この"裁量問題"という名称自体に対し、生徒さん・親御さんともに、かなり恐怖感に近いものを持っているようです。

実際の得点率をみてみると、、、


実際に裁量問題を採用している学校をざっと見ると、受験者層が内申C~Eランク(評定の平均が4前後)程度の高校でも大半が裁量問題を使うようで、逆に、使わない高校の方が圧倒的に少ない。(北海道教育委員会のページ 札幌市教育委員会のページ
ところが、道教委から発表されている実際の得点率(→資料)を見て、得点率について高い方から累積度数を取ってみますと、次のようになります。
 累積度数    国語    数学    英語
  56点以上   0.1%   0.0%    1.1%
  51点以上   3.5%   0.4%    6.3%
  46点以上   19.3%   2.5%    17.8%

これ、「数学で46点以上を取れたのは全体のうち2.5%しか居なかった」という見方をします。
つまり、裏をかえせば<それ以外の97.5%の裁量問題校の受験者は45点以下しか取れていなかった>ということ。
国・数・英の裁量問題分の配点は15点程度ですから、<数学に関しては大半の生徒は裁量問題どころか標準問題すら解ききってはいない>ということですね。
また、国語にしても英語にしても46点に届いているのは全体の2割程度のようです。

中堅校に当てはめて考えてみましょう

この資料を元に、例えば内申Dランクのお子さんがいたとして、「志望校は新川高校。でも、裁量問題が怖いからと石狩南にしようかと迷っている」という状況を考えてみます。
さて、ココで考える必要があります。
新川高校の受験者層って、先ほど挙げた"全体の2割程度"にどれだけ入るんでしょうか?
露骨な言い方をすれば、新川高校の受験者で裁量問題をきちんと解けているのはどれくらい居るのでしょう?

自分の読みではせいぜい取れているのは成績最上位のごくわずかの生徒だけで、大半の生徒はほとんど裁量問題の15点は捨てられているのではないかと。
そうなると、「裁量問題が怖いから、裁量問題ではない学校を選ぶ」という理由付け自体が意味をなさなくなります。だって、そこの受験生の大半は裁量問題分の点数を無いものとして考えることになりますから。

同時に、「志望は裁量問題校なんてすが、どう勉強したら良いですか」という質問に対しても返答ははっきりしています。
数学なんかを見ると、裁量問題部分で点数差がつくことの方が稀なわけですから、まずは標準問題を完璧に解き上げることが優先事項です。
これから1月あたりまでの時間をそのつもりでこなしていくと、冬休み明け辺りにはほとんどの標準的な問題をやりつくしているはずです。
そもそも裁量問題なんていかつい名前がついてますけど、実際に出題される問題は数学に関しては「いろいろな分野を組み合わせて難しく・面倒くさくした」という程度。
まぁもっとも、時間的に見て初めから解けないことを前提にしているような気に入らない出題も多いわけですが。
国語にしても英語にしても、難易度が上がり正答率は下がりますが、でも中学範囲を逸脱しているわけではありません。
その意味では解きにくさはあっても標準問題の延長線上でしか有りませんから、その他の部分が仕上がってきていればその頃には裁量問題レベルの問題にも手を出せるようになっていると考えたほうが自然です。

裁量問題に関しては、以前『裁量問題対策という煽り文句』という記事でも書いたのですが、そこが検索サイトにピックアップされるのか"裁量問題"というキーワードで検索してここを訪れる方が少なくないですね。
その時にもほぼ同様のことを書いたわけですが、「まずはしっかり足場固めを」というのを抜きにして「裁量問題が難しいから対策を・・・」というのは、私の目には大手塾さんの宣伝にうまく乗せられて、ただただ振り回されているようにしか見えないのです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「現状こんな感じで、学校の先生にはこんな風に言われましたが、実際どうなんでしょう?」みたいなご相談がありましたら792-0490もしくは sigmaseminar@gmail.com までお気軽にどうぞ。
その後入会されるかどうかは完全に別で、お話だけでも構いません。
参考意見(セカンドオピニオン?)もしくはちょっとした気晴らし(気休め?)くらいにはなるかと思います。

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